ヒントは気まぐれ

あれ、と思ったその瞬間、また更に奥深くまで堕ちていくのを感じた。

彼らはいつもそうだった。何の気なしに私の心を惑わせて狂わせて何を言うこともなく堪らない幸せのモヤモヤだけを心に宿して、そしてまた沈静化の闇へと消えていく。

欲しいと欲を出したところで彼らが思い通りに動かないことなど目に見えていて、いつだって、こうならないかなと思った夢は嘲笑われるように叶わない。

それでも夢を見続けるのは、すべての夢を投げ捨ててしまおうとしたときにかぎって、彼らが私の心に新たな夢を宿すからで。

あぁ、また弄ばれているとわかっていながら私は今日も彼らに夢を抱かずにはいられない。

7月4日。

私は今日も彼らに夢を見てしまった。不意打ちの悪戯に心を惑わせながら。

何かあるのではないか。そう思っていたことも確かで。それでもその想像の遥か上をいく出来事をもたらすのが彼らだった。

彼らは何も言わない。言うとしてもずっと後、もしかしたら言わないままかもしれない。そんな彼らが好きだった。私たちに推測という名の夢をくれる彼らが好きだった。

だからまた夢を見てしまうというのに。もっと、と夢に夢を見てしまうのに。

彼らに限っては、そんなことはきっとない。と分かっているのに期待してしまう。

でも期待通りのことはもしかしたら夢のままでいいのかもしれなくて。

いつだって不意打ちに、突然に、愛の溢れた課題を彼らは置いていく。全ての答えなんて教えてくれない。ヒントすら気まぐれな猫のように曖昧で。

期待を持たせ続けてくれる彼らに到底敵うわけがなくて、次こそはと思いながら期待に夢を膨らませ、でもそんなわけはないとどこかで葛藤しながらこれからも彼らを追いかける。


ねぇ、そろそろ、答えを一つ教えてくれてもいいんじゃない?


答えは俺たちだけのものだよ。


それならそれで悪くない。彼らが二人、思い出という名の夢を共有しているのなら。

ほらまた、彼らはこっそりと大胆に夢の欠片を置いていく。


ねぇ、カメ?

なに、田口?

今年はどうしようか?

そうだな、髪型でも揃えてみっか

そろそろ皆気づいてくれたかな

まぁ気づいたんじゃねぇの 

じゃあもちろん来年は………



髪の毛がお揃いな君たちの思うところはどこにある



(※The music dayの友達部前髪あげ髪型お揃いにちなみ妄想制作)